0概念

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「pd」医療に必要な「0コンセプト」や「HC0(Health Care 0)と
SIインデックス(Status Intervention Index)」についてご説明

0コンセプト

地球という小さな惑星上で空間を共有する人類にとって好運なことに、人間はお互いの差異に比べてはるかに多くの共通項を持っています。
人間工学の分野においても、他の分野同様,人間の持つ共通項をまず最初に検討することが基礎となります。地球上の全ての人間が共有する共通項を明らかにして、初めて個人や集団の間の差異を明確にし、またその理由を把握することが出来るのです。
人間と重力の関係や、人間は休息時には仰臥し、作業する時には背筋を伸ばした姿勢をとり、自分の体の位置は自分で決めるということなども、この共通項に入ります。
人間の活動やコミュニケーションにおける人間と環境の相互作用を研究する分野である人間工学において、0の概念は、人間の姿勢や外界とのコンタクト、視覚、ポジション設定およびパフォーマンスにおける自然な共通項を表現する基盤を提供するものであり、また情報の分類と医療に必要な学術専門用語の体系化の核となるものです。
私たちは秩序立った医療システムと医療の鍵は、0の概念に基づいた健康志向型の記録方式と0の条件から演繹的に求めた医療の行為、インスツルメントおよびセッテイング(環境)であると考えています。

1987年5月 ADA「The Health of the Dental Profession」より抜粋

「0」はいろいろな意味を持っています。もっともわかり易いのは「無」という意味で、健康とは「医療の必要性が無い状態」だといえるので「健康」を「0」と置き換えることができます。これが究極的な目標「Goal 0」です。
また時には対象物全体を「0」で表すこともできます。たとえば人体全体を「0」と定義すると体の各部分を0以外の数字で表すことができます。口腔を「00」と定義すると、各歯牙を「11」というように2桁の数字で表現できます。
また「0」は基本的な必要条件を意味することもあります。日常の表現でも、「0に戻って考えてみる。」というように、基本的な必要条件、前提条件を意味することもあります。このように特定の意味を0で表現して、0の定義との関連においてその他の条件を0以外の数字で表すことによって、いろいろな内容を表すことができます。
たとえば最適な治療姿勢の条件は何であるか、0の条件は何かというときは0を基本的な必要条件として使っているわけです。
「0の概念」を基にしますと、固有感覚に基づいた治療(pd care)の条件と情報管理システム、また物理的ないし肉体的な条件とメンタルあるいは精神的な条件とをつなぐことができます。
0コンセプトは両者の間に橋を架けるものだと思います。
また0をどう定義するかによって、一人の人間の健康状態に焦点を当てることも、人類全体の健康状態を包括的に見ることも可能で、考慮の範囲を自由に広くしたり狭くしたりすることができるのです。

1988年11月27日APLO講演会より抜粋/HPI(ヒューマン パフォーマンス アンド インフォマテイック)研究

HCO(Health Care 0)とSIインデックス(Status Intervention Index)

SIインデックスでは、医療の究極の目標である健康-すなわち医療の必要性が全くない状態〈Status〉は、数字の0(ゼロ)によって表されます。
それと全く反対の状態が-1で、その間のインデックスも0に近づけば近づくほど、いわゆる侵襲度のすくない、手順の誤りであるとか,他に及ぼす影響(患者の健康回復あるいは所定の手順完了のために要する資源等)が少なくて済む、より0に近い状態であることが示されます。
-1の概念は0と全く反対の極に位置するもので,完全に医療に依存していかなければ生存できないような,自分で自分の健康を管理できないような状態が続く、そういった状態を表します。
ここでお気づきのように、SIインデックスは+の値をもっているものはどれ1つありません。
全て0から-1までマイナスの値になっている訳ですが、治療が必要であること事態,どのような内容のものであってもマイナスの状態であると言う意味で,これを広く捉えれば、人間の存在や存続(survival),安全(safety),健康(Health)に関する大きなインデックスの中の一部として存在するものであって、±0の状態を達成していくために、インデックスを指標として活動が評価されなくてはなりません。
このようにSIインデックスは、医療供給者ならびに受診者に対し、予防・セルフケアやヘルスケアゼロ(HC-0)の目標を明示し、志向させるものであるといえます。
したがって、0の概念に基づいた健康志向型の記録方式において、SIインデックスは情報格子よって規格化された口腔診査表の中で1つの情報軸を構成し、また治療コードの左端の重要な位置を占めており、医療情報を標準化するための鍵となるものです。
標準化によってその記録は地球規模での最適な医療へ向けての信頼性の高い情報を提供するパスポートとなるでしょう。

「ヘルス/ケア情報マニュアル'90」(株)オーガナイゼーションモデル発行より1976年発表

プロフィール

Dr.ビーチ - Daryl R. Beach DMD

米国ネブラスカに生まれる

1964年米国オレゴン州立大学卒業後、米国オレゴン州ポーランドにて開業。
横須賀米国海軍病院に口腔外科医として勤務の間、日本をはじめアジア各国を回り、米国歯科診療の最新技術紹介、指導を担当する。
その後、東京医科歯科大学、韓国慶煕大学歯学部、フィリピンオカンポ大学、米国メリーランド大学歯学部などで教鞭を振るう一方、1972年にHPI研究所を創立、国内外の歯科医師、大学関係者にも歯科教育コースを提供する。
1983年から世界保健機構(WHO)口腔保健専門委員会委員を経て、その功績から2000年に勲三等瑞宝章叙勲。

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